最後に、主要な国々の個別市場動向について、日本政府観光局(JNTO)のレポートを参考に以下の通りまとめさせていただく。
中国市場は単月として過去最高を記録も、伸びは1桁台にとどまる
中国市場は前年同月比2.0%増の517,100人で5月としての過去最高を更新したものの、1桁台の伸びにとどまった。これで2月以降、4か月連続で1桁台前半の伸び率となっている。
韓国市場は85%を超える大きな伸びで最大の市場に
韓国市場は前年同月比85.0%増の558,900人となり、5月としての過去最高を更新した。昨年5月は、4月に発生した熊本地震により訪日客数が落ち込んだが、その反動増により今回は全市場の中で最も高い伸び率を記録し、訪日旅客数全体を牽引した。また、LCCを中心に航空路線が増便され座席供給量が増加したことや、祝日の並びの関係で連休が取得しやすかったことも伸び率を後押ししたと考えられる。
台湾市場は単月として過去最高を記録も、大幅な伸びには繋がらず
台湾市場は前年同月比8.5%増の407,500人となり、5月としての過去最高を更新したものの、1桁台の伸びにとどまった。今年は端午節が6月から5月に移動したことや、昨年の熊本地震の反動増、地方へのチャーター便就航など、複数の増加要因が存在したが、航空座席供給量の減少により訪日客数の大幅な成長に繋げることはできなかった。
タイ市場は訪日旅行プロモーションが訪日意欲の喚起に貢献するも伸びは1桁台にとどまる
タイ市場は前年同月比4.6%増の88,800人となり、5月としての過去最高を更新した。インセンティブツアーの増加に加え、現地旅行社との共同広告などの一般消費者に直接訴求する訪日旅行プロモーションが実を結んだ。
米国は現地メディアでの露出強化で単月として過去最高記録
米国市場は前年同月比11.4%増の124,700人となり、5月としての過去最高を更新した。米国経済の安定に加え、アジア方面への海外旅行需要の高まり、現地メディアへの日本の露出増加により訪日客数が増加。旅行会社などに対する情報発信により、訪日旅行商品の内容が多様化している。
次回発表分統計値
次回は7月19日(水)の16時に6月分の推計値が発表される予定となっている。市場全体として引き続き好調を維持できるか、また、比較的伸び率が穏やかな中国市場の動向に注目が集まる。