「爆買い」「インバウンド」など訪日観光関連ワードが流行語となり、2015年訪日外国人数も過去最高を更新し、名実ともに盛り上がっているインバウンド市場。その一方で今年2016年3月には東日本大震災発生から5年が経過しながらも、なかなか復調しきれていない東北地方経済の実態があります。少子高齢化時代において、観光業、特に外国人観光客をターゲットとするインバウンド市場は地方創生の鍵になりえます。東北地方としてもこのインバウンド市場による経済効果を享受していきたいところですが果たして現状はどうなのでしょうか。
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盛り上がるインバウンド市場
東北地方のインバウンド統計データを見る前に、まずは簡単に日本全体のインバウンド市場データを見てみましょう。2015年11月末までの外国人観光客数推移です。
きわめて堅調な推移が見て取れます。また、インバウンド消費額も観光庁試算では2014年に2兆円規模となっており、2015年には3兆円近く、そして2020年には5兆円産業になるとの予測も出ております。もし5兆円産業となれば農林水産業と経済規模として肩を並べることになります。このように、インバウンド市場の拡大は統計データからも明白に見て取ることができます。
東北インバウンド市場の今
では、この盛り上がるインバウンド市場に東北地方は乗り切れているのでしょうか。観光庁による「宿泊旅行統計調査」をもとに、延べ宿泊者数で東北インバウンド市場の現状を把握していきましょう。
ご覧の通り、他地域と比較して東北地方のインバウンド市場は大きく出遅れており、運輸局ベースの地域分布で見ると中国地方に次いで下から2番目の延べ宿泊者数となっております。次に東北地方のインバウンド市場成長率を同じく述べ宿泊数で見てみましょう。
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