東北地方インバウンド市場の現状と可能性<前編>

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前ページ << 【震災前後の比較と対人口比率でみる東北市場】

出遅れている理由

私の個人的な話になりますが、これまで事業開発のため、様々な東北の観光地を回ってきました。その先々において、外国人受け入れ準備についてのヒアリングを行いました。正式な統計ではないのでこのアンケート統計としては正確なものではありませんが、東北を代表する観光地でのヒアリングですので、実態と大きくかけ離れていないと思います。調査項目は、①外国語による表記(ICTデバイスでのサポート含む)、②外国語ができる人材の配置、③WIFI整備、の3つの項目での独自調査です。

  言語対応
(インフラ)
  言語対応  
(人材)
   Wi-Fi   
お寺A × × ×
ミュージアムB × ×
観光施設C × × ×
観光施設D × × ×
観光施設E × × ×
繁華街F
レストランG × ×

(○=完全対応 △=一部対応 ×=非対応)

結果はやはり、東北地方においては十分なインバウンドインフラ整備ができていない状況でした。

複数のヒアリング調査も実施したのですが、各施設は「ニュースでインバウンドが盛り上がっているというのは知ってはいる」ようですが、実際に収益構造が変わるほどの変化が見られない限り投資対効果としてその領域には踏み込めない、という意見が多かったです。

もう一点の、東北人の控えめな地域性によるブランディングの欠如、という点ですが、こちらは東北地方に住む人々の出国率統計データを見ると面白いです。

人口に占める出国者数比率
全国 15%
東北 4.3%

ご覧の通り東北地方における出国者数比率は全国平均の半分にも満たない水準となっております。この数字だけで断定はできませんが、東北地方は「奥ゆかしい」地域性があるのではないかと推察します。その結果、積極的に海外に向けてPR展開を実施しきれていないのではないでしょうか。尚、日本政策投資銀行による「東北経済ミニレポート_2014年12月」によると、外国人による「TOHOKU」の認知度は僅か11%(北海道65%)であり、著しく低いことがわかります。

以上のように、他地域に比べてインフラ整備及びプロモーションどちらの観点からみても明らかなる遅れが、東北地方には存在すると確認できます。

当寄稿後半では、今後の東北地方のインバウンド市場拡大の可能性を探りたいと思います。

「東北地方インバウンド市場の現状と可能性<後編>」は以下よりどうぞ!

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齊藤 良太

齊藤 良太㈱VISIT東北 代表取締役

投稿者プロフィール

2005年サンフランシスコ州立大学社会科学部卒業後、富士通㈱、日本マイクロソフト㈱を経て、2016年1月㈱VISIT東北(㈱パソナグループ子会社)代表取締役に就任。

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