東北インバウンド市場の拡大に向けて <観光資源編>

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「東北インバウンド市場の拡大に向けて」シリーズ、今回は「観光資源発掘」というテーマで考えてみます。まず本題である「観光資源」という言葉についてですが、自然コンテンツ、ハードコンテンツ、ソフトコンテンツ、そしてそれら以外にも景観や人々の生活文化など様々な捉え方ができます。それらの幅広い観光資源について、訪日外国人観光客の方々は何を求めているのでしょうか?そして、果たして東北地方にはどれくらい観光資源ポテンシャルが隠されているのでしょうか?掘り下げてみましょう。

訪日外国人観光客が期待する観光資源とは何か?

まずは、そもそも訪日外国人観光客にとってどの観光資源が人気なのかを確認していきます。観光庁の訪日外国人消費動向調査(平成27年)のレポートを確認します。

順位 内容 選択率
1 日本食を食べること 69.7%
2 ショッピング 55.3%
3 自然・景観地観光 44.0%
4 繁華街の街歩き 39.0%
5 温泉入浴 29.8%
6 日本の酒を飲むこと 20.6%
7 旅館に宿泊 20.5%
8 日本の歴史・伝統文化体験 16.7%
9 テーマパーク 16.4%
10 日本の日常生活体験 15.4%

※観光庁「訪日外国人消費動向調査」平成27年年次報告書

日本全国、全外国人を対象にするとやはり都市部観光資源であるショッピングなどが目立ちますが、「自然景勝地、温泉、旅館、歴史、伝統文化、日常生活」など、地方が強いコンテンツが人気なのが確認できます。

次にアジアだけに的を絞って見てみます。東北のインバウンド市場調査レポートをまとめている日本政策投資銀行の最新レポート(2016年1月)では、アジア7カ国(韓国530人、中国514人、台湾510人、香港517人、タイ502人、シンガポール515人、マレーシア515人、インドネシア508人)合計4,111人を対象に、調査を行いました。その中で、「行ってみたい日本の観光地イメージ」があったので、「アジア視点」による人気な観光地・対象を抽出してみます。

順位 内容 選択率
1 温泉 71%
2 68%
3 富士山 68%
4 日本的な街並み 66%
5 雪景色 59%
6 日本旅館 58%
7 新幹線 55%
8 紅葉 53%
9 53%
10 日本庭園 45%

※日本政策投資銀行「2015東北インバウンド意向調査」

温泉・桜・富士山に関しては7割程度の方々が訪れてみたいという回答がありました。日本と同じアジア人にとっても、これらの観光資源は人気が高いことがわかります。

次に、欧米からの訪日外国人の目線を確認するため、欧米圏において人気の旅行系口コミサイト・TripAdvisorのランキング(2015観光地と旅館)も見てみます。こちらはより個別施設でのランキングになっていますが、傾向をつかむという目的で見てみます。

順位 観光地 都道府県
1 伏見稲荷大社 京都府
2 広島平和記念資料館 広島県
3 厳島神社 広島県
4 東大寺 奈良県
5 禅林寺 永観堂 東京都
6 地獄谷野猿公苑 長野県
7 高野山 奥之院 和歌山県
8 サムライ剣舞シアター 京都府
9 沖縄美ら海水族館 沖縄県
10 箱根彫刻の森美術館 神奈川県

※TripAdvisor 「外国人に人気の観光スポットランキング」2015年版

このランキングにおいては、例えば6位の地獄谷野猿公苑(長野県)の猿が温泉に入っているというシーンが珍しいということで、訪日外国人観光客が増えていると話題になっておりますが、ほとんどが欧米系であって、猿がさほど珍しくないアジア圏の観光客にとっては割合的に多くないことも確認できています。もうひとつ1位、3位、4位、5位、7位、に入っているのは全て神社仏閣系の観光資源です。欧米からの訪日観光客にとっては馴染みが薄い歴史的観光資源、ということが理由で支持されているのだと考えられます。

こういったランキングを確認する際の大前提として、「外国人」と一言でくくってはいけません。国・人種・年齢・性別によってこれらのランキングは大きく変わりますので、注意が必要です。ですが今回のレポートではその点については深堀りせず、あくまでインバウンド市場全体における人気な観光資源分析として捉えてください。その視点を確認した上で、全体的な訪日外国人観光客が好む観光資源としては、日本食・ショッピング・自然・景勝地・繁華街・温泉、などをおさえておきたいです。また、アジア人が好む観光資源としては温泉・桜・富士山・日本的町並み・雪景色、などがあり、欧米人趣向の観光資源としては神社仏閣がある、という点も確認しておきましょう。

次ページ >> 【東北地方の観光資源ポテンシャル】

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