過去5年の延べ宿泊者数から見る宿泊業界 ホテル・旅館での外国人延べ宿泊者数は?

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先日、観光庁が2015年12月の宿泊旅行統計調査(第1時速報値)を発表しました。速報値とはいえ通年のデータが出揃いましたので、今回は延べ宿泊者数にフォーカスをあて、過去5年間の宿泊産業におけるお客様構成の遷移(述べ宿泊者数ベース)を見てみましょう。

延べ宿泊者数とは?

念のため延べ宿泊者数の定義だけ軽く触れて起きます。延べ宿泊者数とは「連泊もカウントする」と覚えておくと良いです。例えば田中さんがAホテルに3連泊しました。この時の延べ宿泊者数は「3」となります。田中さんがAホテルに3泊、Bホテルに2泊すると、延べ宿泊者数は「5」となります。簡単ですね。延べ宿泊者数の対義語は実宿泊者数です。これは連泊をカウントしませんので、田中さんがAホテルに3泊しても実宿泊者数は「1」となります。同様にAホテルに3泊、Bホテルに2泊した時の実宿泊者数は「2」となります。別の考え方をすると「実」の場合は個人を特定した上で何人がその施設や都道府県に滞在しかた、と考えても良いですね。尚、観光庁が出すデータの中では延べ宿泊者数を重視します。これは、特定個人が何人きたか、よりも市場全体で「何泊利用されたか」のほうが市場規模をより正確に把握できるからです。因みに延べ宿泊者数の単位は「人泊」となります。

全体の延べ宿泊者数推移

では統計データを見てみましょう。まずは日本人・外国人を区別せず、過去5円の全体の延べ宿泊者数の推移です。「泊数」で見た時の市場規模推移と捉えられます。

延べ宿泊者数

過去五年間、全体の延べ宿泊者数ほぼ横ばいから微増なのが見て取れます。毎年飛びぬけているのは8月、夏休みシーズンですね。毎年のグラフの形状も似ていますね。毎年大体同じ時期に旅行に出る、という国内観光市場をよくあらわしています。

外国人延べ宿泊者数推移

次に外国人観光客の延べ宿泊者数推移を見てみましょう。

外国人延べ宿泊者数

外国人の延べ宿泊者数はきれいな右肩上がりのグラフとなっています。月毎のでこぼこがそれ程ないことが分かるかと思います。これが、「外国人観光客は国内観光市場の閑散期を埋めてくれるからありがたい」、という声が聞こえてくる理由のひとつです。よく言われることですが、日本ではゴールデンウィーク、夏休みなどの大型連休に一斉に旅に出ます。結果として費用が高くなったり、どこにいっても大混雑といった状況になってしまいます。受け入れる側としてはその時期はとてつもなく忙しく、短期雇用も活用しなくてはなりません。そうなると、当然提供サービスの質が落ちる可能性もあります。双方にとってあまり良い風潮ではありませんね。

外国人観光客は、一言で「外国人観光客」といっても多様な国からやってきますので、そもそもバケーションの時期がずれます。また、平日と祝日の差もそれ程意識しなくて良い点も、迎え入れる我々としては喜ばしいことだと思います。施設としては収益が見込みやすくなりますし、現場スタッフの調整もやりやすいですよね。

外国人延べ宿泊者数が占める割合

さて、では全体の延べ宿泊者数に占める外国人延べ宿泊者数はどれくらいなのでしょうか。なんとなく想像がつきますか?異業種である小売業界の百貨店の現状を参考に考えてみましょう。2015年12月の大手上場百貨店の売上高にしめる免税品売上高は約4%程度です。外国人が多く集まる地域、東京の新宿や大阪の心斎橋などにおいては、一部の店舗で7%~20%を超える店舗もありました。

では、旅館・ホテル業界の延べ宿泊者数ではどうでしょうか。グラフをみてみましょう。

外国人延べ宿泊者数割合

2015年1年間の全体の延べ宿泊者数に占める延べ宿泊者数は約15.2%でした。しかし、このグラフの前半部分、2011年ー2012年では5%程度です。東日本大震災の年でしたので落ち込みが激しいですが、平均すると5%程度。そしてこのグラフの真ん中あたり、2013-2014年では10%程度になっています。昨年、テレビや雑誌などにおいて、宿泊産業における外国人旅行者の存在感を扱うネタがあった時に「増えているといってもまだ10%程度」という表記があったのを鮮明に記憶しているのですが、その数字が今では15%になってきているのです。

まとめ

この5年間で、全体の延べ宿泊者数に占める外国人延べ宿泊者数の割合が5%→10%→15%と推移してきたことがグラフから確認できました。ただし、これは「割合」が増えただけであって、日本国内の延べ宿泊者数をベースとした泊数規模で言えばそんなに伸びてきているわけではありません。他の業界と同じように、国内日本人旅行市場はほぼ停滞している中、訪日外国人旅行者市場の急伸によって全体としても上昇してきている、という構図です。インバウンドナビは「インバウンド」と謳っていますが、インバウンド市場の拡大だけが目的ではありません。インバウンドが増えても現在のように日本人による旅行がますます停滞し、結果として旅行産業の成長がなくなってしまうと、それは日本という国で見た時には明るい話題にはなりません。勿論、単価も上がっているので市場規模としては成長していますが、延べ宿泊者数ベースで見た時も、拡大してくると更に良いですよね。その為には、観光庁さんが取り組んでいる、若者に旅の意義や素晴らしさを伝える「若旅★授業」のような地道な活動は重要ですし、業界としても、空室率の低下が著しい都心には引き続きがんばってもらいつつ、できるだけ地方への導線をしっかりつくっていく作業が必要だと思います。

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