危機感がDMO設立の背景 宮城県南DMO (仮称)

2017年3月、宮城県南エリアに新たなDMO「宮城県南DMO」(仮称)(日本版DMO候補法人申請予定)が誕生する。宮城県南DMOは所在地を宮城県丸森町に置き、隣接エリアを含む4市9町をマーケティング・マネジメント対象とする「地域連携DMO」として登録される予定だ。インバウンドナビは11月9日、共同運営する「地方創生インバウンド機構」のセミナー「稼げるDMOのつくり方」を開催するが、当セミナーに宮城県南DMOの行政担当者及び民間担当者を招聘し、ここでしか話せない「DMO立ち上げの現場」のお話をセッション形式で伺う。当セミナーに先立ちインバウンドナビは先日丸森町を訪問し、商工観光課の伊藤淳氏にお話を伺ってきた。 [編]インバウンドナビ編集部 [聞]荒井竜馬 

丸森町伊藤様

[宮城県丸森町 伊藤淳氏]

— 今回は弊社が共同運営する「地方創生インバウンド機構」へのご登壇をご快諾いただきありがとうございます。現在は来年3月の「日本版DMO候補法人」への登録に向けてご準備中とのことですが、具体的にどういったご準備をされていますか?

伊藤様:現在は当DMOの組織構成や確立計画などの最終調整を行っております。各種KPIの設定やターゲット国の選定も含め、まさに大詰めの段階にあります。

 

— ターゲット国という言葉が出ましたが、今回は「インバウンド市場」をコアターゲットとするDMOの組成と伺っております。インバウンド市場への取組をコアとすることに対してご地元、特に伊藤様ご所属の丸森町においては当初はどういった反応だったのでしょうか?

伊藤様:構想を共有した当初はご賛同いただけない方々、ご懸念をお抱きいただく方々が非常に多かったです。

 

— そういった方々が反対された理由は色々とあると思いますが、具体的にはどういった理由が多かったですか?

伊藤様:丸森町の平成27年度から平成36年度の「まちづくり」基本方針を策定する「第五次丸森町総合計画」という計画書があるのですが、実はその計画書には「インバウンド」に関することが一切書かれていない。ですので、「総合計画で触れられていないことに新たに取り組むことは違うんじゃないのか」という意見が行政内にありました。

 

— 前提となる計画書に記載がなく、かつ伊藤様ご自身が所属される行政内からの反対意見となると覆すのが相当大変だと思いますが、どのように進めたのでしょうか。

伊藤様:地道に、しかし着実に少しずつ説得していきました。その際に常に私の頭にありましたのは「危機感」です。民間の研究機関「日本創生会議」が2014年に発表した消滅可能性都市に丸森町は該当しています。このままの流れでは「丸森町がなくなってしまうのではないか」という危機感は強烈に抱いております。

 

— 何かを変える必要があると考え、その切り口の一つが観光であり、盛り上がっているインバウンド市場だというお考えでしょうか。

伊藤様:その通りです。私は2016年の4月に観光班に戻る前の1年間、移住班に在籍しておりました。「移住」という切り口で丸森町を考えたとき、魅力的な場所、時間、そして人々がいることを我々は知っています。ですが、今後ある程度の規模感で移住を促進していく場合、当然ながら「職」が必要になります。その際に私なりに色々な分野から今後の職業創造の可能性を模索した結果、やはり観光は外せないという考えになりました。そんな折、現在共に事業を進めている齊藤さんを含め、たくさんの素晴らしい出会いがあり、インバウンド市場への取組を決意しました。

丸森町写真コンテスト入選 冬の朝

[丸森町の朝日]

— その他に、説得の際によく話に出たことは何かありますか?

伊藤様:先ほどの「計画には無い」という件についてですが、一方で「来る東京オリンピックに向けての準備をする」という基本方針もありました。インバウンド市場への取組はまさにこれに該当しますので、この点についてはよく説得の際に話に出しました。受け入れ環境の整備も含めて、行政と民間がタッグを組んでたくさんの外国人が訪れる魅力ある町にしていきたいですね。

 

— 今回は4市9町の自治体からの同意を得た上で申請を進めているとのことですが、これら自治体を巻き込んでいく際の基本的な方針のようなものはありますか?

伊藤様:当然のことではありますが、常に「独り勝ちしたい」という考え方は全く持っていません。むしろ、インバウンド市場においては一人で勝てることはあまり無いとも思います。また、皆様からのご意見をしっかりと集約していけるような運営組織にもなっております。この辺りは申請前ということで開示できることとできないことがありますが、4市9町、どの自治体も当該DMOに直接意見できる仕組みになっています。4市9町にある魅力的な観光資源を繋ぎ、「4+9=13」以上の価値を観光客の方々に提供していきたいと思っています。

 

— 組織の話が出ましたが、日本全国のDMOではトップに参加自治体の長がつくケースもあります。その中で民間企業の人間をトップに据えるという方針にはどういった考えがあるのでしょうか。

伊藤様:今回のDMOを成功に導いていく際に最も重要なことは、着実に、そしてスピーディーに「実行」していくことだと考えております。色々なしがらみがなく、実際に動いていける方に任せた方がいいのではないか、という考えです。先ほど述べた、自治体がきちんと声を上げられる仕組みもありますので、民間企業がトップになることについての懸念はありません。

 

— 最後に、今後DMOの組成に動かれる方々についてコメントがあればお願いします。
伊藤様:自治体との連携には非常に時間を有します。なるべく早く、そして構想の早い段階でコンタクトを取り、情報共有を進めていくことが重要だと思います。

 

<取材後記>
今回お話を伺った伊藤氏は、物腰も語り口調も非常に穏やかな方だが、この半年間に実行されてきたことはまさに「戦い」だ。色々な難題に直面しつつも、民間の良きパートナーと共に打開し、今がある。11/9に開催するセミナーでは「DMO立ち上げの現場」という切り口で、行政側、民間側の具体的な視点から参加者の皆さんにとって役立つコンテンツを届ける予定だ。是非ご参加をご検討いただきたい。

11/9(水)に地方創生インバウンド機構主催のセミナー「稼げるDMOのつくり方」を開催します。今回の記事でお話を伺った丸森町の伊藤氏とのセッションも含めて、豪華講師陣にご登壇いただきます。是非ご参加をご検討ください!(ご参加費無料)

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