先日、観光庁は2015年通年における訪日外国人消費動向調査結果を発表した。既に速報値として発表されていた通り、2015年の訪日外国人による旅行消費額は3兆4,800億円にも上っており、前年対比で71.5%増という強い勢いが改めて確認された。この国内消費額の内、最も大きな割合を占めるのが買物代である。実に全体の約4割もの割合を占めており、金額にして1兆4500億円となっている。そして金額もさることながら、「ショッピング」は訪日外国人にとって日本を訪れる際の楽しみなコンテンツの1つになっている。
ショッピングに最も期待している訪日外国人は17%で全体の2位
訪日外国人は何に期待して日本を訪れているのか。訪日前に最も期待していたこと(単一回答)の2014年と2015年を比較したのが以下の表である。
2014年と2015年の大きな違いとしては、2015年は「日本食を食べること」が34.4%から26.0%に8ポイント下げ、一方でショッピングが14.1%から17%に約3ポイント上げている。2015年に「日本食を食べること」の割合が下がった要因としては、2013年12月に和食がユネスコの「無形文化遺産」に登録され、ブーム的に日本食を食べにくることが盛り上がった2014年に比べ、2015年はその反動があったことが考えられる。その証拠に、同年実施した調査項目「今回した人のうち満足した人の割合」において「日本食を食べること」は87.6%と全項目の中で1位となっている。つまり日本食への満足度は引き続き極めて高いことになっている。
むしろ、この表から確認したいことは、背景には為替環境や免税制度関連の緩和があるものの、ショッピングは現在のインバウンド市場においては非常に重要なコンテンツであるということだ。では、ショッピングにおいて重要な決済環境はどのようになっているのだろうか。昨今では多用な決済ツールが登場しているが、昨日(2016年4月14日)のJCCA第39回通常総会において新たな運営体制となった日本クレジットカード協会(JCCA)の山口事務局長、星野前事務局長、松井調査役に直近の課題などについて話を聞いた。
クレジットカード利用についての課題としては2点
JCCA、日本クレジット協会では2014年度、2015年度と2年続けて訪日外国人、及び訪日外国人受入施設へのヒアリングを含めた調査結果などを「観光立国実現に向けた業界としての取り組み」という報告書にまとめて公開している。それらを読み解くと、クレジットカードの利用を含めた訪日外国人による消費を今後も促進していくにあたっては、いくつかの課題が確認されるが、特に主要なものとして2点の課題を確認できる。
それら課題が確認できるのは、2014年度調査における「カード利用環境に対する不満の要因」アンケート結果だ。まず、不満の第1位となっているのが「店舗の入り口等にカードが利用可能かどうかの表示がなかったことが不満だった」という回答が42%であり、続いて、「(クレジットカードが)使えるかどうかがガイドブック・ホームページ・旅行代理店等ではわからないのが不満だった」という回答が40%で2位になっている。