2015年11月、東京都港区の六本木に完全予約制の外国人観光客をターゲットとする日本食専門店が誕生した。ワタミ株式会社が運営する「銀政-GINMASA」だ。大手チェーンによる外国人観光客にフォーカスした店舗ということでインバウンド市場でも話題となった。店舗オープンから約3ヶ月が経ち、どのような運営状況となっているのかを聞きに同店舗を訪れた。執行役員中川本部長(以下敬称略)、および店舗責任者の藤葉氏(以下敬称略)にお話を伺った。
[編]インバウンドナビ編集部 [聞]荒井竜馬
ページ1/3【店舗の現状とインバウンド受入環境について】 ページ2/3【店舗全体から日本らしさを感じてもらう】【体験によって付加価値を提供】 ページ3/3【試行錯誤の連続】【町ぐるみでのインバウンド誘致】
店舗の現状とインバウンド受入環境について
—— 外国人観光客にターゲットを絞りつつ、完全予約制という非常に特徴がある店舗ですが、オープンして約3ヶ月、店舗の現状はどうでしょうか?ワタミグループ全体でのインバウンド市場に対するお取り組みの現状と共に教えてください。
中川 : 現在ワタミグループ全体では一月に約1万人の外国人観光客の方にご利用いただいております。外国人観光客の誘致促進自体は2015年の5月頃から注力してきておりますが、全体としては好調に推移しております。六本木「銀政」も団体の外国人観光客誘致を積極的に進め、試行錯誤しながら運営しております。
—— 外国人観光客はどの国のお客様が多いでしょうか?
中川 : 現在は台湾からの外国人観光客がほとんどです。旅行代理店と提携した上で集客しているので、現在はまだ国籍には偏りがあります。今後は広がっていく予定です。因みに明日はタイからの観光客100名様をお迎えします。
—— 店舗の多言語を含めたインバウンド向けインフラはどうでしょうか。
中川 : スタッフには中国語を喋れるスタッフを配置しています。現在は団体客のみですので通訳ガイドの方も同行されますが、店舗側にも外国語を話せる人間を配置することでお店のこと、お料理のことをより深く理解してもらえると考えています。
—— 決済はどうでしょうか。
藤葉 : 主要クレジットカード、銀聯カード等に対応しています。販売用のグッズも置いていますが、免税対応はまだこれからです。その他のインバウンド向けインフラ面でいえば、指差しツール「YUBISASHI」を設置しており、英語、中国語(繁体字・簡体字)、韓国語、タイ語に対応しております。また、喫煙ルームを個別に用意することで、店内は全面禁煙とさせていただいております。
—— 多言語での店内放送もありました。
藤葉 : 店内放送は英語、中国語、韓国語に対応しており、バスの出発時間などをお知らせしております。また、海外和民が出店している中国や台湾、東南アジアの国々からのお客様には販促券をお渡ししているのですが、この券は英語と中国語に対応しております。
次ページ >> 【店舗全体から日本らしさを感じてもらう】【体験によって付加価値を提供】