東北地方インバウンド市場の現状と可能性<後編>
- 2016/1/14
- コラム
- 東北地方, 青森県、秋田県、宮城県、山形県、岩手県、福島県、地方
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復興NEXTフェーズに対する支援
日本政府も東北創生×インバウンドに関しては本気です。12月24日、2016年度予算案を閣議決定し、観光庁関係予算は前年から2.36倍の245億4500万円に増加しました。そのうち「地方創生のための観光地域づくり」においては新規事業の「東北地方へのインバウンド推進による観光復興事業」として32億6500万円を充当しています。
予算費目内容 | 平成28年度 | 平成27年度 | 倍率 |
インバウンド受入環境整備・観光産業活性化 | 8,374 | 82 | 102.5倍 |
地方創生のための観光地域づくり | 6,367 | 1,972 | 3.23倍 |
戦略的訪日プロモーション・MICE誘致の促進 | 9,482 | 8,028 | 1.18倍 |
その他 | 322 | 309 | 1.04倍 |
合計 | 24,545 | 10,390 | 2.36倍 |
同日12月24日には、東北6県を対象として、見るもの・食べもの・買いもの100選という企画で、これに体験を加えた観光資源を募集し始めました。また、東日本大震災の復興支援に向けた新たな観光ルートを作ろうと、国土交通、農林水産、経済産業などの出先機関と観光庁、東京都、東北6県、民間企業の55会員が、酒どころとして知られる東北6県80カ所の酒蔵をつないだ「東北酒蔵街道」が創設するなどもニュースになっていました。昨年は、広域観光ルートに東北ルート「日本の奥の院」が追加されて、新たなゴールデンルート作りにも期待されています。
まとめ
東北におけるインバウンド市場においては、全国に名を轟かせる成功事例はまだあまりありません。しかし、今回触れてみました、①ポテンシャル、②急速に進むインフラ整備、③集中する東北への支援の手、これらの点から思考すると、今後の東北インバウンド産業のポテンシャルは非常に大きいと思います。
今後プライオリティを付けて東北が取り組まなければならないことは、まずは低い認知度を上げるためのTOHOKUブランド作り(プロモーション)、そして、そこに暮らす人々・受入事業者のマインドづくり(新しい文化=インバウンド産業を創る意志)、これら2点が重要です。2016年3月で東日本大震災から5年が経過します。インバウンドという新しい文化の中で次なるステップを踏み出すことができるか、今後の東北全体の動きに注目したいと思います。